ステーキナイフはこんな鋼材でできています
ステーキナイフの鋼材
ステーキナイフの鋼材には、【炭素鋼】、【ステンレス鋼】と【粉末冶金鋼】とその【複合鋼】の4つの種類があり、それぞれの特徴により広く使用されています。ステーキナイフの使用目的に応じて、鋼材に要求されるコストや特性が異なるため、オールマイティーな鋼材は無く、用途に応じた選択が必要です。
■炭素鋼(Carbon Steel)
ハイカーボンスチール。鉄と炭素の合金。炭素含有量が、最低で0.02%含まれるものを指します。
炭素鋼は鉄と少量の炭素で作られています。炭素鋼は含まれる炭素量で、低炭素鋼、中炭素鉄鋼、高炭素鋼、及び非常に高い炭素鋼の4つに分類されます。低炭素鋼は0.05%から0.3%の炭素を含んでいます。 中型炭素鋼は0.3%から0.5%の炭素を含んでいます、そして、高炭素鋼は0.5%から0.95%の炭素を含んでいます、そして、非常に高い炭素鋼は0.96%から2.1%の炭素を含んでいます。 高炭素鋼は、刃物を作るために最も広く使用された炭素鋼で、熱処理により硬度と靱性の良いバランスを維持できますが。焼き入れにより硬度はステンレス鋼より高くでき良いエッジを保持できますが、錆に弱いと言う欠点があります。
■ステンレス鋼(Stainless Steel)
サビにくくするためにクロムやニッケルを含ませた合金鋼
クロム(Cr)が酸素と酸化皮膜を形成し耐食性が高い
stain-less サビ-無い という名前だがまるっきり錆ないわけではないので要注意
主にカーボン、クローム、モリブデン、バナジウムなどを含有します。
ステンレス鋼は鉄と少量の炭素に、クロム、バナジウム、モリブデン、タングステンやニッケルなどが加えられ作られています。これらの要素が鉄と炭素に加えられると耐食性が増加し、加えられる量により異なった性質のステンレス鋼が形成されます。高い炭素含有量はエッジ保持を増加させるのに必要で、高炭素ステンレスは、刃物鋼として広く使われています。炭素鋼ほど硬度は高くなりませんが、通常使うには十分な硬度にすることができます。
■粉末冶金鋼(Powder Metallurgy Steel)
粉末冶金鋼は、インゴットから急冷し粉末に凝固させられた金属の粉末を型に入れ、粉末成形プレスで圧力をかけ固め、それを焼結炉で、金属の粉末が溶けない温度で焼き、粉を焼結させます。従来の工程で作り出された鉄鋼と比べて、カーバイドを減少させ結晶粒度を微細化させ、強度、エッジ保持、および研削性に優れています。本来、粉末成形で部品を造り使用する目的のため、成形後の加工が困難です。
■複合鋼(Composite steel)
複合鋼は、複数の材料を圧接や鍛接により1つの部材とした鋼を言います。その代表的な物が日本刀です。 日本刀は、玉鋼・銑鉄・包丁鉄の3種類を積み上げ加熱し小槌で叩いて鍛接します。そのときの配合は、含有炭素量が異なる心金(しんがね)、棟金(むねがね)、刃金(はのかね)、側金(がわがね)の4種類に作り分けされ、厚さ20mm、幅40mm、長さ90mm程度の鋼にします。 四方詰鍛えの造込みでは、側金、芯金、側金の順で重ね、鍛接します。厚さ15mm、幅30mm、長さ500~600mm程度に打ち伸ばされ、刀の握り部分になる、茎(なかご)が鍛接され刀の形に打ち延ばされます。多くの和包丁や、現在のダマスカスと呼ばれる鋼も複合鋼です。
刃物鋼の重要な特性
理想の刃物鋼は、ステーキナイフの形に加工しやすいこと、簡単に焼き入れでき、硬度が上がり、鋭いエッジができ、そのエッジが長く保たれ、衝撃で折れず、力に対して曲がらず、錆びない。 製造可能性:機械加工性の程度。
焼入れ硬化性:熱処理行程によって硬化できる程度。
硬度:永久的な変形に耐える程度。
エッジ保持:ブレードが鋭いエッジを保持できる程度。
耐摩耗性:鋼が摩耗に耐えることができる程度。
靱性:破損せずに鋼が衝撃を吸収できる程度。
強度:力に耐えることができる程度。
耐食性:錆び(酸化)に耐えることができる程度。
ステーキナイフにおけるステンレスの特徴
ステンレスはステーキナイフのみならず、カトラリーの素材としては現在最もポピュラーです。
素材に含まれているニッケルとクロームの含有率とカーボンの量によって等級や用途が分かれます。
クローム ニッケルの通称18-8ステンレス以上であれば、通常のステーキナイフ使用で錆びることは無く、問題はありません。
ステーキナイフでは18-8ステンレスのほかに、18クローム10ニッケルの18-10ステンレスがあります。
一般にクロームとニッケルの含有率が高いものほど耐蝕性が強くなり、高級ステンレスといわれます。
18-8ステンレス以上は磁石につきませんから、これがステンレスの等級を見分ける簡単な方法です。
ただし、18-8ステンレスのステーキナイフでは強く加工された部分が磁石につくことがあります。
ステーキナイフ用のステンレスはスプーン、フオーク用とは異なって、硬度を出すためにカーボンを含んだステンレス素材が使用されます。
これは磁石にはつきますが、腐食に強く良く切れる事が素材の良さのポイントになります。
他の金属でも同じことですが、特にステンレスは表面の研磨の良さによって、その錆びないと云う特長が良く発揮されます。
その深い独特な光沢のステーキナイフは、一見してすぐ見分けることができます。
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